Interview series

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Date: 2024.11.12

「AIを作ります」というより 「体験を一緒にデザインする」

Roland株式会社

笹森一義 様

日本の大手電子楽器メーカーのローランド株式会社。今回は弊社と共同開発したAI技術を用いて、大量のプリセットからぴったりくる音色を探索するプロジェクト「Tone Explorer」を担当された笹森一義さんにお話を伺いました。

Introduction

簡単な自己紹介と社内での役割などを教えていただけますか 笹森一義と申します。 今は、ローランドのCloud Business事業本部に設立されたRoland Future Design Lab.の先端R&DグループというAIやWeb3といった新しい技術を活用していくことを目的とした部署に所属しています。この5月からは、AIプロダクトマネージャーという肩書がつき、製品やサービスへの導入を牽引していくような立場でお仕事をしています。

笹森さんのようなAIプロダクトマネージャーという肩書の方は他にもいらっしゃるんですか?

実はまだいないんです。実用化フェーズに入ってきているのでまず一人置いてみてというところですね。エキスパート的な立場だと役割がわかりにくいという海外のチームからの声もあったので、AIに関しては一旦まとめてということでこういった役割を持たせて貰いました。

どのようにQosmoを知ったのか教えていただけますか?

技術系の調査部隊にて、AIやデジタル系技術のトレンドを掌握する活動があって、私がAIを中心に担当したんです。その時すでに徳井さんのAI DJの取り組みは有名だったので、特に日本のAI系の会社、その中でも音楽をやってる会社ということで、そこでQosmoを初めて知ったという感じです。

About projects

プロジェクトを開始する時点での問題意識や課題などを教えていただけますか?

最初の時点では音色とフレーズには相関があるだろうと考えていたので、これを活かしていきたいっていうのをぼんやりと持っていました。あとAIで何か出来そうだなというのはあれど、具体的にどういう手法でどう構築するのがいいのかっていうのは、正直私たちだけだと完全に手探り状態というのが一番の課題でしたね。

その後は、弊社にご連絡いただきミーティングという流れでしたよね。

そうですね。今流行りのテキスト to 〇〇 ではなく、何となくマルチモーダル的なアプローチなんだろうと思っていたんです。なので、それが得意そうな会社ってどこだろうな?と考えた時に、最初に思い浮かんだのが実はQosmoだったんですね。本当に我々だけだとわからない部分も多かったので、まず手法の提案というのを最初にしていただきました。そこから、じゃあどういう準備をしながらどのようなステップで進めていけばいいのかというのが割と丁寧にご説明いただけたので、こちらとしても準備から進めていく全体のイメージが結構掌握しやすかったです。

どういった成果が得られたのか、手応えなどあれば教えていただけますか?

まず試作開発に入る前段階の検証プロセスとしてモデル構築しようというのが一つの目標だったので、短期間で到達する事ができたのは非常にありがたかったです。それが出てくると周囲の人たちに対しても”もの”として見せることができるので、言葉で説明するよりも理解してもらい易く、そうしたアウトプットが出せるっていうのは本当に一緒にやらせていただいて一番良かったことかなと思ってます。

プロジェクトを進めるうえで難しかった点、楽しかった点など教えていただけますか?

難しかったところは、結構時間が限られているプロジェクトだったので、もっと長く話し合うような時間が持てれば良かったなと思ってはいました。その辺が一番難しかったところかもしれないですね。ただ、いろんなコミュニケーションツールもあったので、そこで会話を持ちながらある程度は解消していたかと思ってます。 楽しかったのは、やっぱり新しい技術や方向性に向かって単に技術をお願いしてやってもらうという関係性ではなく、目的に向かってどのような結果が出るのかを共に話しながら、進めていけたことでしょうか。主体的に一緒に取り組むということは他ではなかなか得られない感覚で良かったですね。

最後に全体を振り返っての感想など、一言あればお願します。

音楽だからというのもあるとは思うんですが、ある特定の技術に固執せず何か面白いものになるようアイデアを出していただいたり、それに対してこちらもフィードバックをしたりと、そういったことを繰り返していけたのが、すごく良かったなと思っています。こういうことを続けてもっと面白い、それがエンドユーザーのところまで届くような感じに発展していけたらというのが今一番思うところです。

ありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです。

「AIを作ります」というより「体験を一緒にデザインする」という形で進めていくというのが一番印象深かった気がします。そういう視点でお話ができるっていうのは開発や研究をお互いにしているという感覚があってすごく良かったかなと思っています。ありがとうございました。