Yudemon

リアルタイム生体データに基づいた音楽生成アプリケーション

Share

OVERVIEW

Yudemonは、ユーザーのリアルタイムな生体データに基づいてパーソナライズ化された呼吸法を習慣化できるアプリケーションです。データに基づいて生成された音源が、呼吸のタイミングをガイドし、音源に合わせたビジュアルが呼吸タイマーとして機能することで、自然と没入できる新しい体験を提供します。Yudemonは、特にマインドフルネスやバイオフィードバックの分野において既に実践されている方法や手順を改善し、幸福度や仕事のパフォーマンスなど、ユーザーのウェルビーング全般を向上させることを目的としています。

心拍変動 (HRV) バイオフィードバックトレーニングは、精神面の治療だけでなく、健康なマインド維持のためにも大きな成果を上げています。このトレーニングにおいて重要なのは、共鳴呼吸と呼ばれる呼吸法で、個々に合ったある特定の速さで呼吸をし、自律神経系を刺激する呼吸法です。これは心拍変動 (HRV) が関連していて、息を吸ったり吐いたりする間隔をコントロールすることによりストレスを緩和する適切な心拍変動を導く方法です。しかし、現在のバイオフィードバックシステムは原始的なものが多く、画面に表示される呼吸タイマーや心拍数などの数値を見ながら実施します。これをさらに応用するために音を使うことができます。

瞑想やマインドフルネスの分野において、HRVバイオフィードバックトレーニングで用いる音は、変化のない単調な音に限られています。Yudemonの独自性は、心電図(ECG)などの生体データに基づいてリアルタイムで音楽を生成・調整し、その影響を同じデータストリームで監視・評価し常時改善するという、精密なフィードバックループをつくりだす点にあります。

BACKGROUND

Yudemonの創業者であるMax Frenzelと徳井直生は、長年に渡り自身の睡眠や呼吸などの生理現象や、それらから影響を受ける心の状態をコントロールすることに関心を持っていました。2020年、多くの人に特にストレスがかかったこの時期に、HRVバイオフィードバックトレーニングに出会い、まだまだ応用できる分野であることを知りました。

Yudemonの名前は、古代ギリシャ語のダイモン(daimon)に由来します。ダイモンは、人間の魂や精神と密接な関係があり、神や超人的な要素も含んでいます。偉大な天才や業績を生み出す精神的な原動力の象徴であり、自分の中の未知の可能性を最大限に追求させるものと見なされていたのです。

機能性音楽とは、ストレス解消、集中力アップ、睡眠導入など、特定の目的のために作られた音楽のことで、ここ数年で急速に注目されています。しかし現在使われている機能性音楽のほとんどが、純粋にアンビエントな楽曲をBGMとして聞くといった使われ方をしています。Yudemonは、生体データ分析と感覚的に訴えるビジュアルを音楽とかけあわせることで、ユーザーが積極的に参加するようなアプローチを試みます。

iOS App

基盤となる技術が開発中の段階から、実際にユーザーが呼吸数を測定できるiOSアプリを開発しました。シンプルでありながら視覚的・聴覚的に呼吸数を測定し、既存のHRVバイオフィードバック用測定器のデザインと機能性を向上させました。

呼吸速度に合わせて伸縮するジェネレーティブなビジュアルが、ユーザーの適正な呼吸を導きます。さらに、ビジュアルタイマーと同期して再生されるサウンドスケープが、呼吸への意識を強調します。ビジュアルとサウンドのガイダンスは、どちらも高度にカスタマイズ可能です。

このアプリはβ版の利用が可能です。まだ一般向けにリリースされていませんが、β版の利用をご希望の方は、Yudemon公式サイトのお問い合わせページよりご連絡ください。

SOUNDSCAPE

アプリで使用されている音源は、HRVバイオフィードバックトレーニングと共鳴呼吸のために特別に設計されたものです。音源の要素は呼吸周波数に合わせて調整され、呼吸のサイクルに合わせて、吸うときは交感神経系 (“fight-or-flight”) を、吐くときは副交感神経系 (“rest-and-digest”) を刺激し、呼吸の効果を反映させながら HRVの向上を目指したものです。

Spotifyでも様々な呼吸周波数に対応した音源をリリースしました。

TECHNOLOGY

ユーザー向けのiOSアプリの開発に先立ち、Yudemonのコアテクノロジーのテストと開発、およびモバイルアプリの将来の方向性を示す実験と研究を行うために、Webベースの内部開発プロトタイプを構築しました。開発プロトタイプは、セッションモードとアナライズモードの2つから構成されています。

Session Mode

実際に呼吸の練習を行うには、セッションモードを選択します。ユーザーの心電図(ECG)データは、例えば一般的な心電図センサー(POLARのチェストストラップ「H10」など)からbluetooth経由でリアルタイムにストリーミングされ、画面上部に表示されます。また、心拍数(HR)と心拍変動(HRV)も表示されます。さらに、呼吸サイクルを音で表現するために特別に設計された音源と同期しており、視覚的に表示される呼吸タイマーが、いつ、どのように呼吸すればよいかをユーザーに示します。

Analysis Mode

分析モードでは、終了したセッションを閲覧・分析することができます。HRVバイオフィードバックの重要な要素の 1 つに、「共鳴周波数」という概念があります。これは、心拍変動を最大化するために必要な最適な呼吸速度です。この周波数には個人差があります (集団平均は約 6 回/分)。分析モードでは、この最適な呼吸速度を特定することができます。

Experiments

開発プロトタイプを使い、HRVバイオフィードバックトレーニングの様々な側面について、いくつかの検証を行いました。

Experiment 1. Resonance Frequency

前述したように、呼吸をする速度が重要です。既存のアプリの多くは、1分間に5回、5.5回、6回、6.5回、7回の呼吸を一定時間続けるセッションを通じて、最もHRVが高いときの周波数を決定しています。しかし、このような1回のセッションのアプローチは、変動の影響を強く受けるだけでなく、0.5呼吸/分間隔の分解能なども含め、最適とは言い難いです。
正確で信頼性の高い共鳴周波数を決定するために、Yudemonアプリを使って、毎分5~6.5呼吸し終わるまでのすべての周波数を0.1刻みに分けて、各周波数で30分、合計8時間を10日間かけて呼吸練習を行いました。その結果、最も高いHRVを達成した被験者の共鳴周波数は、かなり高い信頼度で5.3~5.4呼吸/分の間であることが分かりました。

Experiment 2. Inhale/Exhale Ratio

呼吸周期全体の長さと同じように、吸う息と吐く息の相対的な長さも、練習の効果に関係してきます。通常、40%吸って60%吐くというサイクルが一般的ですが、その最適性を裏付ける説得力のあるデータはまだ存在していなかったため、調査を行いました。
2回目の実験では、吸う息と吐く息の複数時間のデータを収集・分析し、異なる比率が被験者に与える影響を調査しました。その結果、HRVと吸気・呼気の比率には中程度の相関があり、最適な比率は吸気35%・呼気65%程度であることが分かりました。

Experiment 3. The Effect of Sound

最後に、Yudemon独自の機能として、HRVバイオフィードバックのトレーニングに特化した音源を設計し、数時間の練習で対応するHRVデータを分析し、再度検証を行いました。

呼吸のタイミングをガイドするリズムと、呼吸の周波数に合うメロディを含んだ音源を使用することで、無音で練習した場合と比較して、HRVが20%増加することが示されました。


REFERENCES


ARTICLES


CREDITS

  • Project Lead and Execution

    Max Frenzel

  • Funding

    株式会社Qosmo

  • Logo Design

    Niko Lanzuisi

ご依頼・ご相談などは、こちらからお問い合わせください

CONTACT