Qosmoはアーティスト、研究者、プログラマ、デザイナーから構成される集団です。わたしたちは、デジタル技術を生かしたアート作品の制作、人工知能(AI)技術などの研究開発、企業・団体からの依頼による広告作品などを手掛けています。
なぜアートが技術開発やビジネスに必要なのでしょうか。
デジタル技術、特にAI技術などが浸透することで、「正解」のコモディティ化が進んでいると言われます。最適化を推し進めれば推し進めるほど、正解とされる答えの幅は狭くなっていくからです。最適を求めると、誰がやっても同じような解に行き着くとも言えます。
価値は差異にこそ生まれます。コモディティ化された最適解には価格競争が待っているはずです。今、この社会、ビジネスにおいて価値を持つのは、最適解ではなく、ユニークな問題を見つける新しい視点だと言えるでしょう。
マクルーハンが言うように、アーティストは「はだかの王様」の物語に登場する正直な子供のような存在です。それ以前の社会に適合した廷臣には着飾っているように見えた王様も、新しい環境に対してオープンな子供の目には、はっきり裸として写っていたのです。柔軟な視点で固定観念をくつがえす、わたしたちはそんな悪ガキの集団であり続けたいと考えています。
もちろんそれだけでは十分ではありません。アイデアをかたちにする実行力、実装力をあわせ持ってこそ、新しい視点が意味を持ちます。
わたしたちがこれまでに手掛けた作品は、ニューヨーク現代美術館やロンドンのバービカンセンターなどで展示されたほか、2019年のGoogle I/Oでの基調パフォーマンスとして招待されるなど、世界的にも評価されています。AIの主要な国際学会の一つ、NeurIPSで機械学習と創造性に関するワークショップを共同企画するなど、学術領域でも国際的に活動してきました。こうした実績のもと、日本を代表する企業や海外の企業との研究開発プロジェクトを今現在も推し進めています。
アーティストの視点で得たアイデアを、研究者の技術をもとに、高度なプログラミング技術とデザインでかたちにする。Qosmoはそんな集団です。
Qosmo(コズモ)の社名の由来である「コスモス」。その対立概念とされる「カオス」とは、複雑なアルゴリズムによる予測できない結果ではありません。この図式は、人間の意志によって決められているだけで、本当の「カオス」はどうやっても測ることができません。
本当の「カオス」は、数学における点のような、無に近い、存在しないかもしれない非概念です。そして、人間の手仕事もアルゴリズムと同じようにテクノロジーであり、偶然を呼び込むものなのです。
私たちがつくったアルゴリズム。そのアルゴリズムが出した結果によって、今度は私たちがつくられる。私たちがアルゴリズムになると同時に、アルゴリズムが私たちになる。そうやって私たちとアルゴリズムとが手を組みながら、「カオス」を掘り起こし、耕し、養い、育む。
その設計とプロセスに、Qosmoのクリエイティビティがあります。
01
徳井 直生
Qosmo 代表取締役 / 慶應義塾大学 政策・メディア研究科(SFC) 准教授 / Dentsu Craft Tokyo, Head of Technology
2009年にQosmoを設立。Computational Creativity and Beyondをモットーに、AIと人の共生による創造性の拡張の可能性を模索。AIを用いたインスタレーション作品群で知られる。また、AI DJプロジェクトと題し、AIのDJと自分が一曲ずつかけあうスタイルでのDJパフォーマンスを国内外で行う。2019年5月にはGoogle I/O 2019に招待され、Google CEOのキーノートスピーチをAI DJによって盛り上げた。 2019年4月からは慶應義塾大学SFCでComputational Creativity Labを主宰。研究・教育面からも実践を深めている。 東京大学 工学系研究科 電子工学専攻 博士課程修了。工学博士。
02
堂園 翔矢
コンピュテーショナルデザイナー / プログラマ
1988年東京都生まれ。2012年東京造形大学デザイン学科、2014年情報科学芸術大学院大学(IAMAS)修了。2016年Qosmoに参加。 コンピュテーショナルデザインの手法を用いてグラフィック、映像、Webなどの制作・リサーチを行う一方、梅田宏明のダンス・インスタレーション作品での映像プログラミングや物理学者・橋本幸士(大阪大学・教授)との恊働による高次元空間のビジュアライゼーション等、領域を横断したコラボレーションを展開。Prix Ars Electronica、文化庁メディア芸術祭など受賞多数。
03
Robin Jungers
プログラマー
1994年生まれ。フランス・ナント出身。パリ・エスト大学卒業。物理と数学の予科を受講後、パリ・エスト大学にてソフトウェアエンジニアリングを学ぶ。専門は、マルチメディアとビジュアルの制作。特に有機的でシンプルな美しさに関心があり、交換留学生として在籍したはこだて未来大学では、自然の摂理に基づいたアプローチで生成されるビジュアルの制作に取り組んだ。在学中にインターンとして加わったのちに、2018年にQosmoに正式加入。
04
中嶋 亮介
プログラマー
1995年兵庫県生まれ。2020年慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科前期博士課程修了(エクス・デザインプログラム)。生成的な映像制作や、人間の知的活動・制作活動に関する哲学的思索に関心があり、制作やリサーチなど種々の活動に取り組む。またリアルタイムコンピューターグラフィックスを得意とし、データビジュアライゼーションや深層学習を用いた映像表現を行う。在学中にインターンとしてQosmoに所属したのちに、2020年に正式加入。
05
Bogdan Teleaga
AIエンジニア
1993年生まれ。ルーマニア出身。ティミソアラ工科大学卒業。アムステルダム大学にて修士号「MSc in Artificial Intelligence」を取得。クラウドコンピューティングに特化したCloudbase Solutionsでのシステム構築、CERNのインターンシップにて世界最大の加速器に用いるAIシステムの実装経験を経て、東京を拠点とするスタートアップ企業にて自然言語処理プロダクトの開発に取り組む。2020年にQosmoに参加。実験的なAIモデルをサーバに展開、大規模なシステム構築を行うことを得意とする。特にAIにおける音楽作曲に関心があり、自身でも様々な楽器を演奏する。
06
Max Frenzel
リサーチャー
ドイツ生まれ。インペリアル・カレッジ・ロンドンで物理学の博士号を取得。その後、東京大学で博士研究員として量子情報理論の研究に従事。2016年、AIに焦点を変えることを決心し、東京に拠点を置くスタートアップ企業に参加。2019年Qosmoに参加。近年は創造性、デザイン、そして音楽におけるAIとディープラーニングの応用に着目し、最近のプロジェクトである生成モデルのLatent Spaceを可視化した『Latent Pulsations』とニューラルネットワークによって生成されたサンプルのみから作られたドラムンベース楽曲『NeualFunk』は、機械学習と創造性に関する学会、NIPS Workshop「Machine Learning for Creativity and Design 2018」に採択された。ライターでもあり、Medium.comの人工知能、創造性、ライティング、生産性、リーダーシップといったカテゴリーでトップライターとして紹介されている。また、Taktileという名義で音楽を制作している。
07
伊勢尚生
グラフィックデザイナー
1986年青森県生まれ。多摩美術大学美術学部情報デザイン学科卒業、同大学大学院美術研究科情報デザイン領域修了。秋山伸氏主宰「schtücco」にてデザインの基礎を学ぶ。フリーでのデザイン活動の後、山口情報芸術センター[YCAM]のYCAM InterLabに所属しメディアアートの展覧会を中心にデザインを多数手がける。CI制作会社を経て、2020年にQosmoに参加。アルゴリズムによるグラフィックデザインを探索中。
08
安江 沙希子
プロジェクトマネージャー
映像制作会社、フリーランスのプロダクションマネージャー、イベント・セールスプロモーション等の企画制作会社を経て、現在に至る。イベント、システム開発、アプリ、インスタレーション、舞台公演など多ジャンルの案件のプロデュース、プロジェクトマネージメントを担当している。
09
高橋 ゆみ
プロジェクトマネージャー
1992年タイ生まれ。オーストラリアに本社を置く上場企業にて30社以上のビジネスを秘書として担当。特に人工知能領域の可能性に関心を持ち、AI研究開発ベンチャーへ参画し、開発側とビジネス側の橋渡しとなるデータマネジメント部署を立ち上げ牽引。2019年にQosmoに参加。クライアントのニーズと開発者・アーティストが持つ独自のクリエイティビティの異なる言語をつなぎ、チームコミュニケーションの潤滑油として多様なプロジェクト進行を担う。
会社名
株式会社 Qosmo(コズモ)
設立
2009年4月1日
所在地
〒153-0051 東京都目黒区上目黒1-13-14 REVE中目黒2F(Dentsu Craft Tokyo内)
役員
代表取締役 徳井 直生
社外取締役 Alexander Reeder(アートアンドプログラム株式会社)
業務内容
アルゴリズムを用いた表現に関する業務、企画・研究開発
Qosmoは下記の大学・研究機関と提携し、様々な研究開発プロジェクトを行っています。
- Interface Culture (Linz, Austria)
- 慶應義塾大学 SFC